スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

こたつ



Twitterで頂いたお題【クロノ+こたつ】

最初はまったりした話にしようとしたら、あまりにも動きがなかったのでこうした。悔いはない。





 比較的気候が安定しているミッドチルダで生まれたクロノにとって、この日本の四季という現象は――――そう表現すると風情が無いと母から非難された――――とても新鮮な概念だった。それまでも色々な次元世界へ仕事で行ってはいたが、時期によって差こそあれ暑い世界はいつも暑く、寒い世界はずっと寒い。それが普通であったが、この国のように毎年ほぼ同じ周期で気候が4つも変化する場所など、少なくとも彼が赴いた事は無かった。聞けばこの世界でもこれだけはっきり変化するのは珍しい方らしい。
 そして、今は冬。ちょうど闇の書事件がありハラオウン家がこの世界へ住まいを移す事となった季節である。

 「ただいま。」

 手袋を外しながら言うが応えはない。静けさに包まれたハラオウン家、自分が出かけている間にどうやら皆ではらって無人となったらしい。
買い物袋をテーブルに置き、上着を掛けて、手洗いうがいを済ませる。そして再び買ってきた袋を手にしてリビングへと向かう。正確にはその中央に据えられた布団着きの机――――そう表現してはやてに爆笑された――――即ちこたつである。
いそいそとこたつに入るクロノ。そうして、買ってきた袋を開け中身を取り出す。
 これも季節の話なのだが、この国は特に季節ごとの食事の彩が実に様々なこともクロノは軽いカルチャーショックを受けたのを良く覚えている。正直、それまでクロノにとって理想的な食事は調理が簡単で低コストで量ができる――――例、焼きソバ――――のが良いもであったが家族も増え、高町家や八神家の食事にまざる時もあり、ここ最近で彼の舌は確実に肥えていた。
 そんな最近の彼のマイブームがコンビニの中華まんめぐりである。はじめは普通の肉まんを軽食として食べていただけだったのだが、自分でコンビニに寄った際に『七色の激辛まんver.Ⅳ』と商品課の人間の正気を疑う物を見つけ、好奇心から購入。食べてみると意外なほどおいしかったのだ。残念ながらその商品はなぜかすぐに販売中止になってしまったのだが、それと出会って以来、クロノは散歩がてらこうして新商品が出るたびに買い歩き、こたつに入って食べるのが最近のパターンだ。
 
 「さて、あたたかいうちに頂こう……ん?」
 
 自分で言って何か違和感を感じ手を止める。
 
 「(そういえば、なんでこたつが暖かいんだ……?)」
 
 自然に流れで足を入れたが、スイッチを入れた記憶は無い。なんとなくコンセントから伸びているスイッチに手を伸ばしかけ、そこで原因を見つけた。

 「フェイト……寝てるのか?」

 金髪の少女が口元まで埋まってすやすやと寝息をたてていた。

 「こたつむりか。」

 確か、こたつで丸まって寝ている人の事をそう言うのだとはやてが言っていた。
良く足が当たらなかったなと、中を見れば絶妙な体の曲がり具合で足をよけていた。
寝相のせいでスカートがはだけてしまっているのが不意打ちで眼に入ってきたが即座に顔を上げて視線を逸らす。
 意味も無く咳払いを一つ。

 「フェ、フェイト。ここで寝ると風邪を引くぞ。」

 何かをごまかすように彼女に声を掛けるが、多少もぞもぞ動くだけで眼を覚ます気配は無い。

 「フェイトー?」

 もう一度呼ぶ。起きない。代わりに、クロノの中の悪戯心がむくりと起き上がった。
 今度は彼女を起さないように手を伸ばし、こたつからはみ出ていた彼女の髪を一房つまみ上げる。普段ならばそれだけでドギマギしてしまうヘタレな彼だが、今は悪戯のほうへと意識が向いてそんな事気にも留めない。

 「…………。」

 無言のまま、つまんだ髪の先で彼女の頬をくすぐる。そのこそばゆい感触にもぞもぞと動くフェイト。少し待ってまたくすぐる。同じように彼女が反応する。
 
 「(楽しくなってきた……。)」

 コチョコチョ。もぞもぞ。
 こちょこちょ。モゾモゾ。
 コチョこちょ。もぞモゾ。

 「うぅん……。」

 動くだけだった彼女が声を漏らす。

 「(やりすぎたかな?)」

 流石に起きるかと思い髪を手放して何事も無かったかのように座りなおすクロノ。だが、予想に反し彼女はもぞもぞと動き始め、そして。

 「なっ――――!?」

 クロノのセーターを掴み枕を抱き寄せるように体を密着させてきた。見えはしないが、こたつの中の方でも足を絡ませてきている感触が伝わってきて、先ほどのはだけた太ももが脳裏を過り、予想外の反撃の衝撃に拍車を掛ける。

 「んん……あるふ……。」

 どうやら彼女の夢の中ではくすぐっていたのはアルフの毛皮で今は抱き枕状態らしい。
 などと、いつもどおりでありながら今は全くいらない冷静な分析をして、クロノは逃れようと身を捻る。

 「えへへ……。」

 そんな抵抗は無駄だと言わんばかりにファイトはしっかりと抱きつき、更には彼の腰の辺りに顔をうずめる。夢の中ではさぞ気持ちの良い毛皮にダイブしているのだろうが、現実では実に大変な光景になっている。

 「………んン……?」

 そこでようやく、毛皮とは違うゴツゴツした感触に首をかしげながらフェイトがうっすらと眼を明けた。
 クロノと目が合い、そこで両者一時停止。

 「……?…………!?」

 だんだんと自分の状態を理解し始め、眼をぐるぐるさせて明らか過ぎるほどに動揺するフェイト。そして数秒が過ぎて。

 「……く……!」
 「く?」
 「クロノだった……!?」

 そうなんだよ。と彼女がようやく出した答えに心の中で頷きながら、再び固まる。ここで。

 「ハッハッハ、どうしたフェイト寝ぼけたのか?」
 「うんそうみたい。ごめんね!」
 
 とでも出来ればよかったのだろうが、この二人のどちらにもそんな軽いやり取りが出来る器用さは無かった。
 再び、フェイトが抱きついたままでの沈黙。
 クロノが、動いた。
 
 「え~と……食べるか?」
 「い、いただきます。」
 
 そして、それから数分後。
 ハラオウン家にやって来たエイミィはこたつから顔を出したフェイトにクロノが肉まんをあーんとしているという謎の場面に出くわすのであった。
 
 
 
スポンサーサイト

テーマ : 魔法少女リリカルなのは
ジャンル : アニメ・コミック

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ヒカワ・カイト

Author:ヒカワ・カイト
なんでもない日記から漫画や小説の感想を載せています。
時たま二次制作も書いたりもしていますw( ̄▽ ̄)

無料カウンター
最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
.
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。